2013年10月

2013年10月24日

石原先生の講演

先週、「テンペラ画を探るー石原靖夫クロニクルー」と題した石原先生のレクチャーを聴いてきました…。

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情熱だ…。
石原先生のローマでの生活、そしてテンペラ画への想い。

8年間もひたすら学ぶことに徹して、日本の画壇から離れ、自分自身とシモーネの作品との対峙。
孤独だったけれど、きっと至福の時だったのかもしれない。

1970年、芸大を卒業し、単身でイタリアに渡り、始めは言葉も分からずSi(yes)ばかり言っていたという。私もそうだったから、良く分かる(涙)
そして、始めは学校でも誰にも相手にされなかったと言う。
技術を教えて貰えず、ただ見ているだけの日々。
皆が授業で使い終わって散らかした道具を一人で片付けたり筆を洗ったりしていたそう。実家が京都の西陣織の工房で、父親や弟子たちが道具をきちんと扱うのを子供の頃から見ていたせいか苦じゃなく自然とやっていたよ、と先生は笑って話す。

芸大を首席で卒業し、きっと華々しく画壇デビューも出来た筈なのに、また、一から学ぶ姿勢。
それは、とにもかくにも、ただ本場の古典技法のテンペラ画を習得したい一心だったから。
凄い情熱。お金も無い、語学力も無い、そんな先生にとって残すは情熱だけだった。
そして、少しづつ、ローマでの生活に馴染み。良い恩師に出会い、いよいよシモーネマルティーニの受胎告知の復元模写制作が始まる。ようやくスタート地点に立った時は既にローマ生活が2年も経過していて、、。

下地の失敗や顔料作り等をしながらも、それは完成するのだけれど、結局六年の歳月をかけて制作された。

なんという永い年月!と私には感じるけど、きっと先生にとってはあっという間だったのかも。
その当時、たぶんまだ珍しい日本人青年が、ローマの街をてくてく歩き、毎日その作業場に通う姿が目に浮かぶ。

自分はたった一年あまりの留学で、先生とはとても比べものにはならないけど、異国で一人で暮らしながら、絵のことだけを考えるあの日々を、想い出してしまった。
先生が日本に帰国してからも、古典技法を、自分のオリジナル作品にうまく活かそうと試行錯誤してきた様子が、10冊に渡る展覧会カタログから伝わってきた。

講演後、(自分はもっと頑張らないとダメだーー!)とカッカと高揚。帰宅途中にちょっとだけ池袋西武の本屋に寄る。
と、洋書の画集が目に飛び込んできた。フラアンジェリコとハンスメムリンク!しかも、お値段65パーセント引き!
なんというお導き?!と勝手に盛り上がり…。
私が買わないで誰が買うんだ、と独り言を言いながら、外は土砂降りだというのに、分厚い画集を二冊も衝動買いしてしまった。

めちゃくちゃ重たいし、既にフラアンジェリコ画集は別のを持ってるし、もはや置くスペースもないのに、、、もう。

気持ちだけはいつも前のめってるなぁ、私。

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kirinrin713kumiko at 23:09|PermalinkComments(0)無題 

2013年10月23日

たまに歩けば…

最近、偶然が続いて驚いた。

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先日、取手にある友人のアトリエに遊びに行ったとき、取手駅に降りると、モザイク作家のK先生にバッタリ!
K先生とはイタリアのラベンナで初対面し、そのまま事の成り行きでカッラーラの街まで一緒について行き、色々とお世話になった方。
気にはなりつつ、全く連絡もせずに失礼しちゃって数年たつなぁ、と心苦しく思っていたので、ビックリな再会だった。
とりあえず、アワアワしながらご挨拶とお礼を言えて良かった(笑)
初めて取手に行ったのに、世の中狭いなぁ。


そして、また数日後の出来事。
模写作品のグループ展が表参道画廊にて今週末までやっているからと、友人からオススメされ、立ち寄ってみた。

画廊には古典技法の模写作品と制作工程などの説明書きもあって、とても見応えのある展示。
ジーっと静かに見入っていると、聴き覚えのある声が!振り向くとこれまた数年ほど会っていなかった友人Aさん!

なんと、Aさんの職場(修復所)の仲間?たちによる研究発表だった。
どうりで、半端ない模写ばかりだと思ったf^_^;)
随分前にフランドル絵画の油絵技法を教えて貰っていた先生の作品もあり、おお!と感激。

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Aさんには私がイタリアに行く際にそれまでやっていた非常勤講師のお仕事を引継いで貰っていて、すっかり丸投げしていたので、頭が上がらない。
帰国してからずーっと気になりつつも、連絡先が分からなくなってしまい、疎遠になっていた。もう、お互い嬉しビックリ。近況報告をアワアワしながら語り合った。

世の中が狭いのか、私の行動範囲が狭いのか。

かなりの出不精でも、Facebookとかもやらなくても、「縁」というか、何かがある人とは、特に努力しなくても、巡り巡って、自然とコンタクトが取れるのかなぁ、なんて。

それはちょっと、連絡ベタの、都合の良い発想ですね(^^)。

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kirinrin713kumiko at 23:30|PermalinkComments(0)無題 

2013年10月08日

Fra Angelico模写作品 ー制作途中ー

月一回だけなのですが、古典技法のテンペラ画の勉強会に参加しています。

石原靖夫先生にご教授頂きながら、模写を制作しています、、。

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今、描いているのがフラアンジェリコの聖母子です。
オランダのアムステルダム美術館にある作品です。


随分前にこの模写作品の下地の制作過程をブログに書いたのを思い出し、探してみたら、なんと!2011年の八月から九月にかけての記事でした。二年前!書庫のテンペラ内にありました。その記事の続きを載せるをすっかり忘れていたようですf^_^;)。

いくら模写作品で締切が無いとは言え、ダラダラとf^_^;)我ながら描くのが遅くて呆れます。

今更ですが、話しを戻しますと…。

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聖母子の背景は金地に模様が刻印されています。その模様を書き起こし、

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金箔をはって、磨いた上に瑪瑙棒の尖ったもので線刻をしていきます。

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背景の刻印が終わったら、着彩です。
卵黄メディウムで溶いたテンペラ絵具で着彩して、下塗りをします。

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肌の下にはテールベルトという、緑土系の顔料を塗ります。

先ずは、顔から。
少しづつ、ハッチングで肌色を塗り重ねていきます。

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顔が似てなくなりそうな予感。ウームどうしましょ。マズイ。

いつもの事ですが、顔は難しいです。

と、今回はここ迄。~つづく~

次にこの模写の制作過程をブログに書けるのはいつになることやら…。
また、忘れた頃に(-。-;??かな。

でも、模写と写生(スケッチ)は、なるべく一生涯、継続していきたいと思います。

kirinrin713kumiko at 08:10|PermalinkComments(0)テンペラ